ライター青木タカオの取材日記 ヤングマシンやDIRTCOOL、HOT BIKEやGOGGLE、ジパングツーリングなどでのライター活動をはじめ、ハーレーライフや初めてのハーレーなどでは編集統括としてエディターに専念。四輪誌、一般誌、WEB媒体などジャンルを問わず編集者/ライターとして携わる。書籍もある。

彼のオートバイ、彼女の島
[No.430] 2008-04-14 Mon 01:21

何度見てもイイですね。
ボクはWに乗るたびにこの曲が頭の中を流れます。
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憧れの彼女の島へ
[No.19] 2005-03-05 Sat 23:49
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イラストはお馴染みの山田光さん!!

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片岡義男小説「彼のオートバイ、彼女の島」の舞台、
憧れの白石島にスポーツスターで行った!!



「瀬戸内海へ来ない? 岡山、笠岡ってあるでしょ。海沿い。福山の、ちょっと倉敷より。そこからフェリーで40分くらいよ」
 片岡義男の小説「彼のオートバイ、彼女の島」は、ご存知でしょうか? この台詞はヒロインであるミーヨこと白石美代子が主人公であるコウ(橋本功)に、自分の故郷へ来ないか電話で誘う名シーンから抜粋したものです。この笠岡っていうところからフェリーで40分、瀬戸内海に浮かぶ小さな島「白石島」がこの小説の舞台になっていて、ボクはいつか行ってみたいと(中学生の頃からだから15年以上)思いを馳せていた。
 小説が発売されたのは1980年(昭和55年)で、1973年製のボクはまだ小説なんか読んだこともないお子ちゃまだったが、中学生になりオートバイに興味を持ち始めた頃、兄貴の部屋にあった片岡義男のオートバイ小説を読みあさり、片岡ワールドのカッコ良さにシビレまくった。ボクはその主人公のオートバイに対する接し方、服装などをそのまんま真似した。世の中ではレーサーレプリカブームだったけど、ボクが興味を持ったオートバイは「スローなブギにしてくれ」のCB500、「ボビーに首ったけ」のRD250など、それらの小説に登場する型遅れの絶版車たちばっかりだった。なかでもまるで生き物のように描かれている「彼のオートバイ、彼女の島」に登場するカワサキW3は、ボクにとって憧れの存在で、NSRやVFRに乗っている高校のクラスメイトにW3の魅力を延々と語る、いま思えば少しピントの外れた少年だった。もちろん大学に入ってから限定解除し、カワサキW3(正しくはW1S−A、W3よりもっと旧い)を手に入れている。
 それだけ、ボクのオートバイライフに影響している片岡小説、そして「彼のオートバイ、彼女の島」。今回、ついに小説の舞台「白石島」に行ってみることにした。オートバイは、フォワードコントロールで長距離クルージングを得意とする1200カスタムをチョイス。東京から東名、名神、中国、山陽と快適な高速クルージングを楽しみ約9時間、島へのフェリーが発着する岡山県笠岡に到着した。

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片岡義男著「彼のオートバイ、彼女の島」、1980年角川文庫。ライダーなら知っている人も多いはず。

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 笠岡のいくつもある小さなフェリー乗り場に着いたのは16時50分。三洋汽船の係員に白石島に行きたいことを告げると、最終便が17時に出るとのこと。「乗り場が違うけど、急いで行けば間に合うかもよ」と、ノンビリした口調で「急げ!」の忠告。出航ギリギリのフェリーに飛び乗った。
 笠岡港から南に約12キロに位置する白石島は、面積2・86キロ平方メートルの小さな島。現在、人口は837人を数えるだけで、夏の海水浴シーズン以外は観光客もまばらで過疎化が進んでいる。旅館や民宿が数件あるらしいが予約はしてこなかった。ボクとスポーツスターを珍しそうに見ている甲板員に、今夜泊まれそうな民宿があるか相談してみた。インターネットで調べておいた民宿「さんちゃん」の名前を言うと、「その民宿なら知ってるよ」と満面の笑み。手の空いたときに電話して、男がひとり、いまから行くから泊まれるか聞いてみてくれるという。ありがたい。
 白く塗った小さなフェリーは、船体の中央にブリッジがあり、そこに操舵室が乗っている。行手には島がいくつもある。太陽は水平線のかなたではなく、つつましやかな大きさの紅い玉となって、いくつも重なっている島陰の向こうに沈む。小説で読んだ景色が、いま目の前にある。想像だけで思い描いていた光景を自分の目で確かめることができ、ボクは感激した。
 あっという間に陽が落ち、月明かりで照らされた海面を潮の香りを楽しみながらノンビリ眺めていると、さっきの甲板員が船賃をもらいにボクのところに来た。どうやら民宿に話しをつけてくれたらしい。電話の向こうでは、「大したおもてなしはできないけど、どうぞ来たらいい」と言っていたことを教えてくれた。

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 海水浴場の目の前にある民宿「さんちゃん」は、中川三二(さんじ=通称“さんちゃん”)さんが家族で営む家庭的な民宿だった。残念ながら、携帯電話という文明の道具が役に立ってしまうけど、四方を海で囲まれた孤立感が、忙しない日常から切り離されたみたいで心地いい。ボクはビールを飲みながら、潮の香りと潮騒を楽しんだ。
 翌日は朝から島には似つかわしくない1200ccもある大きなスポーツスターで、島を隅々まで探索した。小説のシーンを思い浮かべながらのミニツーリングは、ひとり気ままなのが楽しかった。こんなことにつき合うモノ好きはいるはずもないけど……。
 島を出る午後のフェリーまでの時間は、再び、民宿「さんちゃん」で過ごした。
「昨日来たのに、もう今日帰るのか?」
ゆったりとした時間が流れているこの島に、ボクだけがあくせくとした大忙しの東京時間を持ち込んだみたいだ。なんだか虚しい気分になる。
 中川さんには、7歳になる長女・奏海子(ナミコ)ちゃんと6歳の海帆(ミホ)ちゃんという2人の娘がいて、ひとりぼっちだったボクの遊び相手になってくれた。夜はトランプをやったり、昼間は縄跳びやサッカーをした。オフシーズンに突然やってきた客人は、彼女たちにとっても珍しい存在だったのかもしれない。
 帰る間近、ミホちゃんは磯で拾ってきたいろんな形をした石に、6色の油性マジックで魚や猫を描いてボクにくれた。子供らしい可愛いプレゼントにボクの心は癒された。小説のヒロイン「ミーヨ」に憧れて、主人公と同じようにオートバイで10時間もかけて白石島までやってきたわけだが、来た甲斐あったと、その時、確信した。彼女の島には、愛くるしい6歳の「ミーヨ」が、ちゃんと待ってくれていたっていうわけだ。
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別冊スポーツスターvol.14
「アオチが行くっ!!」にて掲載。
(一部抜粋なので、もっと読みたい人は本をゲットしてくださいね)


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尾道では大林宣彦監督の「尾道三部作」(時をかける少女転校生さびしんぼう)の
ロケ地巡りをしてきた。
「転校生」では、小林聡美と尾見としのりが、この階段を転がり落ちて入れ替わってしまう。

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